事業系フードロス削減にDXを活用できる!? あわせて、家庭でできる対策も考えてみよう

本来は食べられる食品を廃棄されてしまうことで被る損失のことは「フードロス(Food Loss)」と呼ばれます。日本のフードロスの量は、飢餓に苦しむ人たちに向けた世界の食料援助量の1.2倍にも上っています。

実は地球温暖化とも密接な関係にあるフードロス。削減していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

目次

日本はフードロス大国!? フードロスと地球温暖化の関係

出典:農林水産省 食品ロスとは

農林水産省や消費者庁など、日本の省庁では「食品ロス」、英語圏の国々では「Food loss and waste(フードロス・アンド・ウェイスト)」と呼ばれているフードロス。2022年度のフードロス発生量は522万トンで、2012年度の642万トンから徐々に減少しているものの、現在でも日本国民1人あたりに換算してみると毎日お茶碗約1杯分の食品を無駄に捨てている計算になります。

このフードロスの内訳を見てみると、家庭系と事業系に大きく分けることができます。家庭系は各家庭から発生する食品の廃棄分であり、事業系は食品メーカーや食品卸売業者、食品小売店、飲食店などが事業活動をおこなうことで発生する食品の廃棄分です。比率は家庭系が47%なのに対して、事業系が53%(2019年度推計値)となっています。

そこでフードロスを減らすためには、お家の食事で廃棄食品や排気料理を出ないようにするだけでなく、食品を買うお店や食べにいく飲食店で「買いすぎない」「注文しすぎない」「食べ残さない」を意識していくことが大切です。

また、私たちが食品を食べるまでには、生産・保管・加工・輸送という過程がありますが、その過程ではそれぞれエネルギーが使用されておりCO2も排出されます。フードロスが多いということは、余計にCO2が排出され、温室効果ガスの増大につながっているということです。

フードロスにより廃棄された食品は焼却処分されることになりますので、そこでも温室効果ガスが排出されているのです。

DXがカギを握る!? フードロスの削減方法

過半数を占めている事業系のフードロスはDX(デジタルトランスフォーメーション)を進展させていくことにより、解決を図っていくことができます。

AIを活用した自動発注システムによるフードロス削減

スーパーマーケットのような食品小売店では、その日の気候や天候などによって来店するお客さんは変動します。しかし品切れを起こしては販売機会を逃してしまうので、在庫は多めに用意しています。そのために客足が伸びない日には、肉や魚、野菜といった日持ちがしない生鮮食品は大量のフードロスとなってしまうわけです。

そこで、これまで店員の勘に頼って発注を行っていた発注業務に対して、AI自動発注システムを導入することでフードロス削減を実現するのです。AIであれば、気候、天候などのデータやPOS(販売時点情報管理)システムのデータに基づき生鮮食品の需要を予測し、発注業務の最適化を行ってくれます。

フードシェアリングサービスによるフードロス削減

飲食店や食品小売店で売れ残りそうな食品をスマートフォンアプリで消費者と即座にマッチング。フードロスの削減を実現するフードシェアリングサービスも全国各地で展開されています。

生産・流通に関わる事業系の食品は「供給量=消費量」が理想です。この理想にできるだけ近づけるために、DXが一役買っているのです。

明日からお家でできるフードロス対策

事業系だけでなく家庭の食品の無駄をなくしていかなければ、フードロス全体は削減されません。「食品在庫の管理」「買い物時の工夫」「食べ残しの削減」「廃棄の削減」を心がけましょう。

食品在庫の管理

買い物に行く前に冷蔵庫内などの食品在庫をチェック。フードロスにつながる食材の重複購入をしないようにしましょう。

買い物時の工夫

買い物をする際には、陳列棚の奥から選んで消費期限が短い食品を残さないよう、陳列順に手に取るようにしましょう。消費期限が近い見切り品を選ぶこともフードロス削減に貢献します。

食べ残しの削減

食品を購入した後はできるだけ早めに食べきるようにし、廃棄をできるだけしないようにしましょう。もし、すぐに食べきれない場合には、その食品に適した方法で保管を行い、美味しく食べられる期間をできるだけ延ばすようにすることも大事です。

廃棄の削減

料理をする際には食べきれる量だけを調理し、食卓に上った料理は基本的にその日に食べきるようにします。また、飲食店では自分の食事量に合わせ注文時に分量を少なめにしてもらったり、食べ残した料理は持ち帰らせてもらったりといった工夫をしましょう。

まとめ

環境NPOの世界資源研究所(WRI)によると、食品ロスから排出される温室効果ガスの量は8.2%で、飛行機1.4%や鉄3.3%よりも大きく相当量の排出源になっています。

フードロスの削減は温室効果ガス排出量の大幅な削減にもつながります。今すぐできるフードロス対策から、地球環境のことを考えてみませんか?

参考

農林水産省:
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html

消費者庁:
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/

SDGsACTION:
https://www.asahi.com/sdgs/article/14444362

WORLD RESOURCES INSTITUTE:
https://www.wri.org/

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