世界人口の増加や地球温暖化による気候変動などによって、発展途上国の食糧不足や飢餓といった食糧問題がクローズアップされています。その一方、日本をはじめとした先進国ではフードロスの問題が発生しています。
このような食の問題を解決し、食の可能性を広げるために新たに生まれた技術がフードテックです。フードテックが普及することで、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。
世界人口の増加や地球温暖化による気候変動などによって、発展途上国の食糧不足や飢餓といった食糧問題がクローズアップされています。その一方、日本をはじめとした先進国ではフードロスの問題が発生しています。
このような食の問題を解決し、食の可能性を広げるために新たに生まれた技術がフードテックです。フードテックが普及することで、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。
目次
フードテックとは、フード(Food)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、最先端のテクノロジーを活用して、新たな食品や調理方法、食に関する環境を変えることで食糧問題に対応していこうとするものです。
IT技術の発展により、従来では考えられなかった取り組みや技術が食材の生産・調理現場に加わることで、新たな付加価値を生み出しています。
近年、フードテックが注目されるようになった背景には、以下のような課題が挙げられます。これらの課題の解決を目指し、さまざまな技術が開発されています。
世界の人口は、2015年の約73億8000万人から2030年には約85億5000万人に到達するとされ、それ以降も増加することが予測されています。
このように人口増加が続いていくと、世界的な食糧不足が慢性化していくことが予想されます。さらに気候変動により作物の収穫量が減っていってしまう懸念も持たれています。
国連の報告によると、2021年時点で飢餓に苦しむ人は世界で8億2800万人に達しました。その多くは発展途上国ですが、今後も発展途上国では人口増加が続くとされています。
深刻な飢餓問題が起きている一方で、日本を始めとした先進国を中心にフードロスが問題となっています。SDGsでは「2030年までに世界全体1人あたりの食料廃棄を半減させ、収穫後の損失などの食品ロスを減少させる」という内容を目標に掲げており、フードロス削減は大きな課題となっています。
世界中で、動物性の食品を摂取しない食生活を採択するベジタリアンやヴィーガンが増えています。フードテックでは動物の肉ではなく、大豆や小麦、植物油など植物性由来の食糧だけを使い肉のような食感を楽しめる代替ミートの開発を進めています。
フードテックを進めていくことで、世界では以下のような内容が推進されるようになります。
最新テクノロジーを活用することで、食糧生産の効率化を進めていくことができます。たとえば、AIを利用することで食品工場の自動運転が行えるので、ビニールハウスや農地を一元管理し、温度・湿度の確認や異常検知などができるようになります。
農園ではドローンを活用した自動農薬散布や自動水やりなどを行えるようになります。
そのほか魚の乱獲による漁獲量の減少が叫ばれていることから、近年では海ではなく陸地で魚を育てる陸上養殖が注目されています。IT活用により作業を効率化することで、陸上養殖をより広く普及させ、漁業資源の減少防止や維持管理につなげることができます。
テクノロジーを利用して植物工場で野菜や果物を栽培することで、環境変化に影響されない栽培ができるようになります。これまでのビニールハウスの栽培と同じことをするのではなく、太陽光をLEDで代用したり、土を培養土で代用するなど、植物工場内の環境を徹底的に管理することで天候や病害虫の影響を受けにくくし、生産量の安定化に寄与できるようになります。
先述した代替ミートのような、新しい食品・食材の開発が期待されています。既に代替ミートは、牛、豚、鶏に続く第4の肉として認知されるようになってきています。
フードテック市場は世界的に注目されており、2025年には世界全体の市場規模は700兆円にもなるとされています。この伸びの理由の1つとして、SDGsとの関連が強いことから政府としても後押ししているということが挙げられますので、将来のさらなる成長も期待されています。
またフードテックが進展することにより、消費者は食品や食材の情報について把握できるようになります。生産者も商品が消費者にどのように利用されているかを把握できやすくなります。この共有情報から食品や食材の需要と供給はよりマッチングできるようになり、フードロス削減の進展にもつながることでしょう。
日本ユニセフ協会:
https://www.unicef.or.jp/news/2022/0136.html
一般社団法人SDGs支援機構:
https://sdgs-support.or.jp/journal/goal_12/
日経ビジネス:
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00205/121000005/