ヒトや動物、植物、細菌など、地球上には約3,000万種類もの生き物がいて、互いに生命のバランスを取り合い、生きています。ところがいま、生き物とそれらの生活環境が、驚くべきスピードで破壊されつつあります。では、地球が本来持っている多様な生態系を、どうすれば守っていけるのでしょうか?Niterraグループでは、生物多様性に関する指針を制定し、事業活動における影響の削減といった活動や環境保全に向けた貢献活動に取り組んでいます。この記事では、私たちNiterraグループがおこなっている、植林活動を紹介します。
生物多様性を取り戻すために
私たちの暮らす地球は、本来は多様性にあふれたとても豊かな場所です。地球では3,000万種類もの多様な生き物が、森林、湿地、山、川など多様な生態系で暮らしています。
ところが、この生物多様性は空前の勢いで失われています。例えば、地球の陸地の3分の1を占め、生物の8割の種が生息している森林ですが、違法伐採や焼き畑農業、火災、開墾などによって急速に消失しつつあります。そのスピードは1日で東京ドームの半分、1週間で東京都の面積分、1年で韓国の面積分の森が消えるほどの勢いです。
森林は多くの生物にとって重要な生息場所であるのと同時に、食物連鎖の重要な要素でもあります。森に生息するさまざまな植物を昆虫や小動物が餌とし、それらの小動物がまた、大型の捕食者や鳥類などの餌となります。森林が減少すると、食物連鎖が崩れ、生物の個体数や種の相互作用に影響が出ます。
現在、生物の27%以上が絶滅の危機にあるとみられており、毎日100以上の種が絶滅し続けています。これは13分に一つの種が消えている計算です。
この問題に向き合い、生物多様性を取り戻すため、世界中でさまざまな取り組みが始まっています。「COP-CBD (生物多様性条約締結国による国際会議)」や、その条約に基づいた“2030年までに陸海域の30%以上を保全しよう”という「30by30」もその一つです。
そこで、私たちNiterraグループにも何かできることはないかと考え、その一つの道としてわずかながらも生物多様性保全に貢献しようと、植林をおこなっています。
木と森に関するレクチャーからスタート
森林は、二酸化炭素を吸収するという特性があり、また生物多様性を守るという意味でも重要な役割を持っています。こうした森林保全への理解を深めるため、Niterraグループは従業員ボランティアによる植林体験を岐阜県高山市でおこないました。
植林の前に、当社グループの植林活動をサポートしていただいている、笠原木材株式会社の桂川様より、木と森についての講義がありました。
木を植える目的は、伐採した森林を元に戻すため、と思われがちですが、それだけではありません。他にも、田畑の跡地や災害などによる裸地の保護、土木工事などから山を守るため、公園や記念樹用の木を育てておくといった目的もあります。
また、植林にあたり、針葉樹と広葉樹の違いについても学びました。針葉樹(裸子植物)は、マツやスギのように、葉が尖っていて、幹がまっすぐ上に育つことが特徴です。適応能力が高く、過酷な環境でも育ちます。木材として利用しやすいため、戦後、木材不足の国策として植えられた人工林が多く存在しています。一方で、伐採後は自然に再生することがないので、皆伐(森林などの一定区間の木をずべて切ること)後の植林が義務付けられています。
広葉樹(被子植物)は、サクラやカエデのように、幅の広い葉を持ち、枝葉が横に広がるように育ちます。樹子の種類が多く、それぞれが育つ環境を選ぶほか、木材として利用するには時間がかかるため、植林されることは少ないようです。しかしながら、伐採後も根本から新しい芽が出てくる強い生命力を持ち、生物多様性には欠かせない存在でもあります。
いざ、植林!
2024年12月に岐阜県高山市で実施した植林体験には、12名の従業員が参加しました。
今回はコナラ・ホオ・サクラ・モミジ・クリの5種類の広葉樹の苗を植林。広葉樹は、葉っぱが落ちて森を豊かにするほか、地中深く根を張るため、土砂崩れなどの自然災害を防ぐのに役立ち、森林の崩壊を防いでくれます。
雨の翌日だったため、気温がぐんと下がり肌寒く感じましたが、参加者は精力的に活動し、150本近い木を植えました。
参加者の中からは、「澄んだ秋空の下、にぎやかに植林作業ができました。植えた木々が大きく育ち、豊かな森になっていくといいなと思います」といった声がありました。他にも、「木に関する勉強会があり、関心を深めることができました。前回も参加しましたが、その時に植えた木の成長を見ることができ、うれしかったです」との感想も聞こえてきました。
森を育てることの難しさ
今回の植林体験では、2022年に植えたコナラの幼木の成長もチェックしました。順調に育っているコナラは、植林時から約2倍の大きさに成長しており、参加者からはよろこびの声が上がりました。
しかしながら、150本を植えたコナラの木ですが、今回89本しか確認できませんでした。2年の歳月の中で、イノシシやカモシカが荒らしたり、枯れたりしてしまったようです。改めて、森を育てることの難しさを実感しました。
今後は、残ったコナラと、今回植林した木が順調に育つよう、獣害対策などを強化して保護していきます。
植林の、その先にあるもの
森や木は、ただ人間の経済を潤すためだけに存在しているわけではありません。ヒトを含め、動物や植物、細菌にいたるまで、多様な生物が生きていくための大切な役割を担っています。さまざまな生物の種を守り、生物多様性を目指すといった観点でも、森や木を守っていくことは非常に重要なのです。
まずは森林の役割を知り、そして森を知り、木を知る。それが私たちにできることの第一歩です。豊かな森林は、私たち人間だけでなく、他の生き物たちの生活も豊かにしてくれるでしょう。
私たちの大切な森林を、木を、守っていくために、Niterraグループはこれからも活動していきます。