風力発電のメリットとは!? 風力発電の仕組みや発電量・発電所の数について

地球温暖化の進行を抑えていくためには、CO2排出量が多い石油や石炭などの化石燃料による発電を減らし、再生可能エネルギーによる発電量を増やしていく必要があります。その再生可能エネルギーの中でも、今後、経済波及効果の拡大が期待されているのが風力発電です。

日本でも設備設置基数が急激に増えている風力発電ですが、どのような仕組みで電力が作り出されるのでしょうか。
その発電量や発電所の数の変化について解説していきます。

目次

風力発電の仕組み

風力発電とは、風で風車の羽根を回して、その回転エネルギーを電気エネルギーに変える発電方法です。

日本はヨーロッパなどと比べて導入が遅れていましたが、2000年以降、中小発電事業者が参入したことによって急激に導入基数が増加しました。その後、風車の大型化が進み、多大な開発資金が必要になったことで、発電事業者が集約・減少し、導入基数も少なくなりましたが、2012年のFIT導入以降、導入基数は再び増加傾向にあります。

風力発電を風車形状で大きく分けると、水平軸風車と垂直軸風車の2種類があります。
回転軸が地面に平行に設置されているのが水平軸風車で、現在多くの風力発電で見られているプロペラ型の形状です。
一方、回転軸が地面に垂直に設置されているのが垂直軸風車です。全方向の風向きに対応でき、バードストライクや騒音などを抑える構造となっているのが特徴です。

設置場所によっても、陸上風力発電と洋上風力発電に分けられます。日本は洋上風力発電が復旧しており、2020年末時点では、陸上風力発電による発電量は5.86万kW(風力発電全体の約1.3%)となっています。しかし、国土が狭く設置場所が限られる日本では、海上に設置する洋上風力発電の比率を増やしていくことが期待されており、政府も強く後押ししています。

2020年12月に洋上風力の導入目標を定めた「洋上風力産業ビジョン」が発表され、2030年までに1000万kW(最大で風力発電全体の約36%)、2040年までに最大4500万kW(最大で風力発電全体の約56%)の導入目標が掲げられています。

これらの分類のほか、微風でも風車が回り一般の住宅でも設置できる小型のマイクロ風力発電も注目されています。

風力発電の設置基数と発電量

風力発電による累積導入量(これまでの全発電量の積算)と設置基数は、2017年末時点の339.9万kW(キロワット)、2,225基から、2022年末時点の480.2万kW、2,622基へと上昇しています。
とくに2019年に「再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)」が施行されたことで、海域利用に関する統一ルールの設定や、海運・漁業等の先行利用者や関係省庁との協議の場を設けるなど、事業者が洋上風力発電を設置しやすい環境になりました。

風力発電のメリットとデメリット

それでは、風力発電のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

風力発電のメリット

陸上と洋上で発電が可能

陸上だけでなく洋上でも設置が可能で、これは周囲を海に囲まれた島国である日本では大きなメリットです。
風力発電でさらに大規模発電できるようになれば、発電コストを火力発電並みに落としていくことも可能です。

夜間でも発電ができる

風力発電は風があれば夜間でも発電することができます。これは、時間帯や季節によって発電条件が左右されやすい太陽光発電とは異なるメリットの一つです。

風力発電のデメリット

電量が不安定

自然の風を利用する発電方法なので、発電量は不安定です。台風のような強風時に風車の羽根が損傷し、発電できない可能性もあります。
ただ近年では、台風のような強風に耐えられる規格の風車も登場してきています。

設置までのハードルやコストが高い

風力発電を設置するまでには、さまざまな調整が必要になります。
日本は陸上風力発電設置に適した平野部が少ないため、洋上風力発電を拡大しています。しかし、日本沿岸には水深が深くなる箇所があるため、洋上風力発電のための風車の基礎や海底ケーブルの設置には陸上風力発電設置の約2倍のコストがかかります。そのため、世界では風力発電の発電コストは低下しているのに対し、日本は高止まりしているのです。

風力発電のミライ

普及が進みつつある日本の風力発電をさらに推し進めていくため、政府でも施策を強化しています。
2020年6月には、電力システムのレジリエンス(強靱性)向上と再生可能エネルギーの導入拡大と同時に国民負担の軽減を目指した「エネルギー供給強靱化法」が成立しました。

この法律の成立を受けて、これまでの再生可能エネルギーの固定価格買取制度であるFIT(Feed in Tariff:フィード・イン・タリフ)から、2022年4月にFIP(Feed-in-Premium:フィードインプレミアム)へと変更しています。
これまで再生可能エネルギーを電源として発電された電力は固定価格での買い取りでしたが、市場取引などで電力を供給したとき、その供給量に対して一定のプレミアム(補助額)を交付される制度に変わったのです。

事業者の収益が拡大できるFIP制度が進むことによって、さらなる再生可能エネルギーの導入・推進が期待されます。
政府では今後、陸上風力発電、洋上風力発電ともに大幅拡大を目指しています。2030年の温室効果ガス46%削減(2013年度比)の目標に向け、陸上風力で17.9GW(ギガワット)、洋上風力で5.7GWへと増やす予定を持っています。
これが実現すれば、現状の発電量である480.2万kW(=4.802GW)の5倍弱の発電量へと増加することになります。

まとめ

風力発電は、今後も増加が見込まれている注目の再生可能エネルギーです。
設備設置のための適地が少なくなっている陸上風力発電よりも、洋上風力発電施設の建設が推進されています。近い将来、海に風力発電がある景色が当たり前になるかもしれません。

参考

資源エネルギー庁:
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/wind/index.html
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu03.html

環境省:
http://copjapan.env.go.jp/cop/cop24/pavilion/04/

日本風力発電協会:
https://jwpa.jp/information/6788/

記事一覧はこちら

関連する記事

RANKING

NEW

KEYWORD