日本本土上陸が懸念されるスーパー台風の脅威とは?

日本はもともと、台風が本土を直撃することが多い台風上陸大国でした。
近年では「スーパー台風」クラスの超大型台風が日本本土に上陸することが懸念されています。

目次

スーパー台風とは?

最近たびたび耳にするようになった「スーパー台風」ですが、実は日本の台風の分類には規定されていません。日本の気象庁は10分間平均の最大風速で台風の強さを分類しており、その分類で最大風速が54m/s以上の「猛烈な台風」と呼ばれるものが最強の台風となっています。

米国のJTWC(米軍合同台風警報センター)が台風の強さを分類する区分のうち、1分間平均の最大風速が130ノット(67m/s)以上の暴風雨となる台風を「スーパータイフーン」と定義していることから、日本でもこのクラスの台風を便宜的にスーパー台風と呼んでいます。

日本でも、過去にスーパー台風クラスの台風が本土に上陸したことがあります。

1959年9月に上陸した伊勢湾台風は観測史上最大の台風です。当時の気象庁の発表によると最大風速75m/sを記録し死者・行方不明者の数は5000人以上という、とてつもないものでした。

そのほか、1934年に発生した室戸台風や1945年に発生した枕崎台風を含め、昭和の三大台風と呼ばれています。

また、2013年11月に日本本土へ上陸した台風30号は、日本に来る頃には勢力はやや弱まっていましたが、フィリピンは甚大な被害を受けました。最大風速65m/sを記録し、フィリピンだけで死者・行方不明者数が8000人以上となりました。

地球温暖化が与える影響とは?

台風は、海面から供給される水蒸気が上昇して空気が渦を巻いて発生するものです。海面水温が上昇することで水蒸気も多くなるので、地球温暖化は台風を巨大化させる原因となるといわれています。

気象庁の発表によると、世界全体平均の海面水温上昇率は100年間で+0.56℃ですが、日本近海における2021年までのおよそ100年間の海域平均海面水温(年平均)の上昇率は+1.19℃にもなっています。

このように日本近海の海面水温は年々高くなっているため、台風が日本本土に上陸するときに勢力が弱まりづらくなることが考えられます。

専門家は、このまま地球温暖化が進行すると、スーパー台風の最大強度が増大するとともに、日本の本州付近まで到達するようになる懸念があると指摘しています。

また、米海洋大気庁の研究チームでは、地球温暖化により台風などの熱帯低気圧の発生件数は少なくなるものの、それぞれの熱帯低気圧が大型化する傾向にあると発表しています。地球温暖化が進んでいくと熱帯上空の空気も暖まることで、高度が高い部分と低い部分の温度差が狭まってきます。

そうすると大気が安定するために雲が発達しにくくなり、熱帯低気圧自体の発生件数は減ってきます。しかし海面水温は以前よりも上昇しているため、いったん熱帯低気圧が発生すれば養分である水蒸気が多く供給されてしまうのです。

スーパー台風クラスが上陸するとどうなる?

近年、日本に上陸する台風は大量の水蒸気を含んだ大型のものとなっているので、集中豪雨による浸水被害が大きくなっています。

東京都ではスーパー台風クラスが都内に上陸し、最大規模の高潮が発生した際の予想シミュレーションを発表しています。それによると、浸水が想定される区域の面積は東京都23区の約3分の1となっており、浸水の最大の深さは10mと予想されています。

床上浸水の場合は高さ60cm以上、約3mで1階部分がすべて浸水しますので、10mというと3階部分まで浸水してしまうという恐ろしいものです。

スーパー台風クラスに備えてできること

大きな台風の上陸や浸水被害に備えて、私たちにできることは何でしょうか? 基本的なことではありますが、下記をチェックして有事に備えましょう。

土のうや水のうで対策

台風の水害対策として、「土のう」を積み上げるということが一般的です。土のうとは袋に土を入れたもので、積み上げて壁を作ることで、浸水被害を防ぎます。
また、浸水がひどくなると、トイレやお風呂などの水回りの排水口から下水が逆流してくることもあります。これには、ビニール袋に水を入れて口を結んだ「水のう」を排水口の上から被せておくことが効果的です。

非常時の持ち出し袋を準備しておく

飲料水やレトルト食品などの食料、常備薬、簡易トイレ、モバイルバッテリーや懐中電灯など、非常時に必要なものをひとまとめにし、持ち出しやすい場所に設置しておきましょう。

何よりも早めの避難を!

何よりも大切なことは、早めに適切な場所に避難することです。
普段から自分が住んでいるエリアのハザードマップを確認し、指定避難場所までの道のりを確認しておきましょう。

まとめ

スーパー台風クラスとまではいかないものでも、暴風や集中豪雨による大きな被害をもたらす台風は毎年のように日本に上陸しています。ざっと挙げてみても、2019年9月の台風15号、同年10月の台風19号、2022年9月の台風14号など、大きな暴風・浸水被害を起こした台風は枚挙にいとまがありません。

今年の台風シーズンは過ぎましたが、非常時に備えて、日ごろから万全の準備をしておきましょう。

参考

日本気象学会:
https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2018/2018_06_0073.pdf

内閣府:
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h20/09/past.html

気象庁:
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html

記事一覧はこちら

関連する記事

RANKING

NEW

KEYWORD